VOS Kとのかかわり

 

「引っ張り上げられ、引き摺り下ろされた」

 

小型機用のOSには、従来L-400シリーズ用のVOS 0、Mシリーズ用のVOS 1があったが、いずれも機能が古くなってしまっていた。そこでソフトウェア工場は小型機用の次期OSとしてVOS Kの開発を始めた。

これは当初、VOS 0とVOS 1のマーケットを両方とも引き継ぐ計画だった。ということは、私が前にいたCPU設計部で開発中だったM-640の主OSでもあるということだった。

私は、CPU設計部長の頃、当時ソフトウェア工場の第2システムプログラム部の部長だった原田昌孝さんにお願いして、VOS 1の後継製品に要求される機能の実現をいろいろ検討して頂いた。それは大型機用のOSであるVOS 3の機能の一部を取り込むもので、かなり重くなるものだった。

ところがM-620/630用のOSに要求される機能はもっぱら使い勝手のよさだった。VOS Kのユーザーは圧倒的にM-620/630の方が多かったので、私は従来の方針を変更し、軽く、使い勝手がいいことに重点を置いてもらうことにした。

あとで原田さんに言われた。

「酒井さんがCPU設計部長だった時はVOS Kのターゲットを引っ張り上げられた。ところが、プロセッサ第2設計部の部長になったら、今度は引き摺り下ろされた」

汎用コンピュータ用のOSを大型機用のVOS 3と小型機用のVOS Kの二つにしたいというのが、ソフトウェア工場の強い要望だったが、結局これはうまく行かず、VOS 1も残すことになった。

これはVOS 1の後継OSに対する要求とVOS Kに対する要求にはギャップがありすぎて、一つのOSで両方を満足することが難しかったためである。また、VOS 1は顧客数が多く、OSの切り替えに対する抵抗が強かったためでもあった。


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