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パリ
昔のままの道路名
トゥルーズに5日滞在して、パリに移った。パリではマドレーヌ広場に面したホテルに泊まった。このホテルでも無線LANでインターネットが使えたが、トゥルーズのホテルと違い有料だった。このホテルでは、長期宿泊者を集めて立食パーティーを開き、われわれにも声をかけてくれたが、残念ながらレストランの予約時間とぶつかり出席できなかった。
パリではマレ地区の古い街並みのスケッチに出かけた。私は、前にパリに行ったときに買った1676年のパリの地図を持っている。それを見ると、この地区の道路、広場、貴族の館など、現在とあまり違わない。
道路の名前も現在と同じものが多い。例えば、右の写真はマレ地区の「Rue
des Francs Bourgeois」という通りだが、300年以上前のルイ14世の時代の地図でも同じ名前だ。
そのスケッチブックに見覚えが・・・
1日はモンマルトルにスケッチに出かけ、階段の一つを描いた。描いていると男が寄ってきて、何かうるさく言う。何だかよく分からないが、右手の親指と人差し指を擦り合わせてカネのサインをしているところを見ると、「その絵を売らないか?」とでも言っているのだろう。「邪魔しないでくれ!」と怒鳴ると驚いて行ってしまった。向こうも時間を無駄にしないで助かっただろう。こういう時は大声を出すに限る。
モンマルトルの丘を下って帰る途中、もう1枚坂道を描いた。描いていると日本人の女性が寄ってきて、「私も絵を描きに来てます」と言う。聞くと、ご夫婦で1か月間パリに滞在し、ちょうど半分過ぎたところだとのこと。何と優雅な方々だ。
その女性は、私が使っていたスケッチブックを見て、「見覚えがある」と言う。それは私の絵の先生が特別に作らせたもので、街で売っていない。どこで見たのか聞くと、その女性が前にヨーロッパのスケッチのツアーに参加したとき、私と同じ絵のグループの女性といっしょになって、その人からスケッチブックを貰ったことがあるのだそうだ。世間は狭いものだ。
この女性は、その後フィレンツェなどにも長期滞在されたそうだ。東京での展覧会で絵を見せて頂いたが、楽しんで描いている気持ちが伝わってくるものだった。私の展覧会にもご夫妻で見にきて頂いたことがある。
このモンマルトルの坂の絵では、もう一つ驚いたことがある。
私の従兄弟の奥さんの中川節子さんという人は写真家で、毎年のようにフランスに出かけて写真を撮っている。昨年(2011年)、彼女の写真展を見にいったところ、ほとんど同じ場所から同じ構図で撮った写真が展示されていて驚いた。私が描いた時からほぼ1年後の2008年5月に撮った写真だという。
彼女の写真のツタの方が大分多いのは、1年の間に育ったのだろう。それにしても不思議な偶然だった。
日本風フランス料理(?)
パリに最近日本風の料理を出すレストランができたと聞いたので、行ってみた。ルーヴルの近くのセーヌ川を見下ろす建物にある。
行ってみて驚いた。天井いっぱいに、寝そべった芸者の裾がはだけて、太股まで見える姿が描いてある。出てきた魚料理は、日本風の薄味にしたつもりかもしれないが、まったく味がしなかった。寿司は形だけのまがい物である。おまけに、予約しておいたのに散々待たせて、ウェイトレスの態度はきわめて事務的だ。
このレストランが、たまたま日曜だったせいもあるだろうが、カップルで超満員なのだ。異国趣味の流行のためか、新しいもの好きのためか、よく分からないが、まったく理解に苦しむ。
あくまでも、フランス人向けの日本風レストランだ。日本人は避けた方がよさそうだ。
しかし、立場を変えると、日本にも、日本人向けのXX風レストランがいたるところにある。XXの国の人たちには敬遠されていることだろう。お互い様だ。