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アルビ
赤い街
アルビもトゥルーズから鉄道で1時間あまりのところにある。ガロンヌ川の支流のタルン川の岸に築かれた街だ。駅を出て街に入ると、赤い家だらけなのに驚く。赤といっても朱色に近い。この地方の土が赤く、それを使った煉瓦で建てた家が多いためという。
昼休みにご用心
画家のトゥルーズ=ロートレックはアルビの近くで貴族の子として生まれたという。トゥルーズもロートレックも地名で、これらの土地を治めていた貴族だったそうだ。したがって、トゥルーズは姓の一部で、名前ではない。名前はアンリという。
生家が近いため、アルビにこの画家の美術館がある。その建物がまたすごい。13世紀にカトリックの司教が建てたベルビ宮殿を美術館として使っている。
宮殿といってもまるで要塞だ。13世紀の初めには法王の十字軍とキリスト教の一宗派のカタリ派がカルカッソンヌなどで激しい戦いを繰り広げたので、こういう事態も想定して強固な建物にしたのだろう。
前に訪れた、アヴィニョンの法王庁がまるで城のようなのにも驚いたが、当時の宗教家にとっては戦争が重要な仕事だったのだろう。
トゥルーズ=ロートレックの大胆な線描が好きなので、丁寧に見ていたら、突然ベルが鳴り出した。昼食時間はいったん閉館するのだそうだ。それが分かっていたらもっとさっさと見るのだったが、後の祭り。こっちも昼食にして、食事を済ませてから続きを見た。昼食時には店を閉める伝統がこういうところにも生きているのでご注意を!
この美術館には見事なフランス式庭園がある。そこからタルン川やそれに架かる古い橋、対岸の景色を見ることができる。この橋は約1,000年前に建設させたものだそうだ。まだ現役だが、遠方に新しい橋も見える。