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アッシジ

途中下車の旅

ローマに3泊して、鉄道でフィレンツェに移動した。その途中、アッシジとペルージアで途中下車して町を見た。

今回は6日間で合計10回イタリアの国鉄に乗った。イタリー・フレクシー・レイル・カードという何日間か乗り放題の切符があり、われわれは1等の4日間のものを利用した。利用する日は連続してなくてもいいので便利だ。

利用した列車の種類は、ES (EuroStar)、IC (InterCity)、IR (Interregionale)、R (Regionale)、の4種類だった。

1等はそんなに混まないとは思ったが、立っているのはいやなので、座席予約ができるものは予約することにした。

ESは新幹線のようなもので、全席予約が必要、ICは急行で予約も可能、Rは各駅停車で予約はできなかった。

IRはいわば準急なのだが、これの予約の可否がよく分らなかった。Thomas Cookの時刻表には「1等のみ予約できる」と書いてあるのだが、旅行会社や娘の知人でイタリアに住んでいた人に聞いたらできないと言う。はっきりしないので、現地で直接確認することにした。

ローマの駅で聞いたら、やはり予約はできないとのことだった。Thomas Cookの記事が間違いなのだろうか? それとも、見たものが「2000年夏用」なので、季節によるのだろうか?

イタリアの国鉄のホームページを見ると、IRには予約の記号がついてなかった。今はこれが一番確かなのかも知れない。フィレンツェからボローニャに行くのに、Thomas Cookに出てない列車があることがホームページで分り、時間的に便利だったのでそれを利用した。

私が使ったThomas Cookには「2000年9月23日まで有効」と書いてあり、イタリアへ行ったのは10月なので、時刻表が違っているとも言えない。ただこれからインターネットがもっと普及し、ホームページも見やすくなると、印刷物の時刻表は要らなくなるだろう。何せ、インターネットを使えば、無料で最新情報が見られるのだ。

ホテルをあまり移りたくなかったので、ホテルは3個所だけにし、途中下車をもっぱら利用した。しかし、重たいスーツケースを持って何回も途中下車するするのは楽ではなかった。日本の鉄道と違い、車両の床がプラットホームよりはるかに高く、また駅の階段にはエスカレーター等まったくない。スーツケースを携えての昇り降りには閉口した。

各駅には日本と同じような手荷物の一時預かりがあるので、どこでもそれを利用した。あまり旅行者が利用しているような気配がなかったが、みんなどうしているのだろうか? やはりバスツアーで来る人が多いのだろうか?

 

道に迷ったおかげで

アッシジは12〜13世紀頃の修道僧、聖フランチェスコが生まれた町である。山の上にある小さな町で、サン・フランチェスコ教会とそれに関連するものしかないようだ。日本で言えば門前町である。

ここでは、あまり時間もないので、この教会だけ見ればいいと思っていた。ところが、失敗してしまった。

ここへ来る人はみんなこの教会へ行くのだとばかり思っていたので、バスを降りると、みんなが歩いていく方向へついて行った。急な登り坂が厳しかったが、教会は高いところにあるものと思いこんでいたので疑いもしなかった。しかし、いつまでたっても教会は現れず、そのうちだんだん人も減ってきて、とうとう町の外れに出てしまった。

しかたがないので人に聞くと、今来た道をずうっと戻れと言う。何と教会はバスの終点からすぐのところにあったのだ。

いい加減な地図しか持ってなかったので、人について行けばいいと思ったのが間違いだった。francesco.jpg (19715 バイト)

しかし、間違ったおかげでアッシジの町を一通り見ることができた。車がやっと通れるくらいの狭い石畳の坂道の両側に、古い建物がびっしりと建っていた。ホテルやレストランの行き先表示が多い割には肝腎の教会の表示は少なく、これを見落としてしまったようだ。あまりにも有名で、表示の必要もないということなのだろう。

 

サン・フランチェスコ教会

この教会はジョットの壁画で有名である。聖フランチェスコの一生を描いたフレスコである。97年の地震でだいぶ傷んだらしいが、すっかり修復されていた。

ジョットは13世紀末から14世紀始めにかけて作品を残した人で、ルネサンスの初期に入れられるようだが、私にはまだ中世の匂いの方が強く感じられる。人物の表情も少なく、まだ中世的だ。専門家が見れば、そこにルネサンスの胎動を感じるのだろうが、私にはよく分らない。

聖フランチェスコの伝記を読んだことがある人は、それぞれの絵の意味が分るのだろうが、私は小鳥に説教したという話ぐらいしか知らないので、あまり興味も湧かない。

しかしこういう絵は、日本にもしょっちゅう来る印象派の絵などと違い、ここへ来なければ絶対に見ることができないことだけは確かである。

 

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