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ヨーロッパ今昔シリーズ (2)

ロンドン今昔

(rev. 1)

酒 井 寿紀

はじめに

この「ヨーロッパ今昔シリーズ」が始まったいきさつについては「パ リ今昔」の「はじめに」をご覧下さい。

新旧対比表

No. 約100年前(1900~1920年頃?) 現在(2020年)
1

 英国国会議事堂 (Parliament of the United Kingdom)
 
右手奥の大時計台(ビッグ・ベ ン)は現在修繕中でカバーで覆われている。

2

 バッキンガム宮殿 (Buckingham Palace)
 建物も
多 数の彫像も不変。
 古い写真は歩道から、新しい写真は車上から撮ったため、角度が多少違う。

3

 ウェストミンスター寺院 (Westminster Abbey)
 現在は右手の土地には建物が並び、昔のような角度で写真を撮ることはできない。

4

 トラファルガー広場 (Trafalgar Square)
 奥の大きな建物は1830年代に建てられたナショナル・ギャラリー。
 右手の塔は、1844年に完成したネルソン記念塔。
 (1805年のトラファルガー海戦でのネルソン提督の勝利をたたえたもの)     

5

 チャリング・クロス (Charing Cross)
 中央の建物は、20世紀初頭にはグランド・ホテルが使っていたが、現在 は複数のテナントが入っている。
 右手前にチャールズ1世の騎馬像が見える。

 
6

 ピ カデリー・サーカス (Piccadilly Circus)
 右の建物は旧London Pavillionで、元はミュージック・ホールだったが現在は小売店が入っている。

 現在左の建物は全面がLED の広告で覆われている。
 中央の天使がいる噴水は1980年代の修理の際、右方向に移動した。
 私はこの修理中にここを訪れたことがある。

7

 ロ ンドン橋  (London Bridge)
 古い橋は1968年に米国に売却され、現在はアリゾナ州で使われている。
 現在の橋は1973年に開通し、古い橋の面影はまったくない。(上の写真)
 周辺の多くの建物は変わったが、橋を北に渡ったところの左の建物は昔のまま。(下の写真)



8

 タワー・ブリッジ (Tower Bridge)
 昔も今も、右手遠方にロンドン塔が見える。

9

 セント・ポール大聖堂 (St Paul's Cathedral)
 第2次大戦中にドイツ軍の爆撃で激しく損傷したが、1996年から15年かけて修復。 

 
10

 イングランド銀行と王立取引所 (Bank of England, Royal Exchange)
 左の建物は英国の中央銀行で あるイングランド銀行。
 1階の外観は変わらないが、大幅に増築されている。
 右の建物は王立取引所で、商品の取引に使われていた。
 現在は使われず、小売店やレストランが入っている。

11

 ハイド・パーク・コー ナー (Hyde Park Corner)
 左の建造物はハイド・パークの南東の入口。(南側より)
 右の建物はウェリントン公爵の邸宅だったアプスリー・ハウス。

12

 王立裁判所 (Royal Courts of Jstice)
 
1882年にヴィクトリア女王によって開かれた上級裁判所。
 通称をLaw Courtsと言い、ストランド(Strand)通りにある。
 現在手前にある入口部分は改築されているように見える。


おわりに

ロンドンの新旧対比表を作ってみて感じたことを記しておこう。

「変わったもの」と「変わらないもの」がある

ロンドンにはこの100年間ほとんどまったく変わってないものが多いようだ。例えば、バッキンガム宮殿(No. 2)、トラファルガー広場(No. 4)、タワー・ブリッジ(No. 8)などだ。

一方、まったく似ても似つかぬものになってしまったものもある。その代表はロンドン橋(No. 7)である。

そして、外観はほぼ同じだが、中がまったく変わってしまったものもあるという。チャリング・クロスの旧グランド・ホテル(No. 5)、ピカデリー・サーカスの旧London Pavillion (No. 6)などだ。

その他、セント・ポール大聖堂のように、元の姿に復元するために15年費やしたというものもある。一般に「古いものを残そう」という考えが非常に強いように感 じられる。

そういう意味では、ロンドン橋は例外的存在のようだ。これは、19世紀にも20世紀にも架け替えられた。「ロンドン橋落ちた」という歌と関係があるのだろう か?

Street Viewの限界

ウェストミンスター寺院(No. 3)の古い写真を撮った場所は、現在は建物に埋め尽くされていて、Street Viewで同じような方角から寺院を見ることはできない。

Street Viewの写真は専用の車両の屋根に搭載されたカメラから撮ったものがほとんどなので、歩道や公園の芝生から撮った写真と同じ角度にはならない。例えは、バッキンガム宮殿 (No. 2)だ。しかし最近は人手で撮ったと思われるものもかなり含まれているので、丹念に捜せば、古い写真により近いものが見つかるかもしれない。

前回の「パリ今昔」同様、今回も建物の上の階から撮ったと思われる写真が何枚かあった。例えば、トラファルガー広場(No. 4)、チャリング・クロス(No. 5)、ピカデリー・サーカス(No. 6)などだ。Street Viewにこれらの写真のように、上の方から見下ろしたものを期待することはできない。

 (完) 2020年12月4日

(rev. 1)  2023年5月2日


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