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(株)エム・システム技研 「エムエスツデー 」2014年10月号 掲載 PDFファイル (エム・システム技研のサイトへ)
ITの昨日、今日、明日
酒井ITビジネス研究所 代表 酒 井 寿 紀
スマートフォンを使ってみて
2007年にアップルのiPhoneが発売されて、スマートフォンの時代の幕が開きました。これはどういうものかと、今から3年前の2011年に、小生もサムスンのGalaxyを買って使ってみることにしました。NTTドコモの携帯電話の契約をこれに切り替えたのです。
これ1つ持ち歩けば、写真も撮れるし、電子書籍や新聞も読め、分からない言葉を辞書で調べることもできます。スケジュール帳としても使えるし、動画やゲームで暇つぶしもできます。そして、もちろん電話やメールもできます。いわば万能の携帯端末で、非常に便利です。
しかし、実際に使ってみると、いろいろ問題もあるようです。限られた体験からですが、小生が気付いた問題点を記しましょう。
Wi-Fiを使いやすく!
現在のスマートフォンには第3世代(3G)と第4世代(4G)の携帯電話回線が使われています。そして、データ通信にはWi-Fi(無線LAN)も使えます。現在は、自宅、職場、駅、ホテルなどでWi-Fiを使えるところが増え、一部の飛行機や新幹線の中でもWi-Fiが使えるようになりました。Wi-Fiが使えるところではこれを使った方が高速で、通信料もかかりません。
そのため、スマートフォンを入手するとすぐ自宅のWi-Fiに接続しようとしましたが、最近はゲーム機などにも組み込まれているWi-Fiの簡易設定ソフトが用意されてないのです。そのため、オンラインショップからそのソフトをダウンロードする必要があり、その時点ではまだWi-Fiが使えないため、高価な3G回線を使わざるを得ませんでした。
通信事業者の中には、あくまで3G/4Gが中心で、Wi-Fiは補助的な手段としているところもありますが、これは全くユーザー無視の考えです。両者が使えるところではWi-Fiを使った方が高速で安く済むからです。
さて、3G/4Gと公衆Wi-Fi網は全く異なるネットワークです。にもかかわらず、スマートフォン用Wi-Fi網がスマートフォンの無料のおまけになっていて、使える場所が極めて限られているのは不合理なのです。無料に越したことはないのですが、安い料金で日本のみならず全世界どこへ行っても簡便に使える公衆Wi-Fi網が出現することが期待されます。
自動同期・自動更新にご用心
小生は趣味で水彩画を描いているため、Facebookの友人には絵を描く人が多く、お互いに自作を見せ合っています。まだFacebookが日本に上陸する前に始めたので、友人は米国人がメインで、数十人になります。
ところがある日、この友人全員がスマートフォンの「電話帳」に登録され、その人たちの誕生日が「カレンダー」に登録されていて驚きました。どうもスマートフォンの同期の設定が適切でなかったようです。個別に削除するのに大変な手間がかかりました。
また、ある日突然ソフトの更新が始まり、延々と続くので、何事が起きたのかと思っていると、OSのAndroidがバージョンアップされていて驚きました。Windowsなどでは、有料のためもありますが、バグの修正は自動更新されても、バージョンアップを自動で行うことはありません。これは長時間要し、終了後再設定が必要なので、無断で始められては困ります。
どうもスマートフォンは「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」の世界のようで、何も指示しなくても、一般的なユーザーの要望を慮って、いろいろなサービスを黙ってやってくれます。ただ困るのは、そのサービスの内容が明確でなく、それでは満足できない時の個別指示の可否、それができる時のその方法がなかなか分からないことです。
自動XXに頼っていると、とんでもない過剰サービスをされることがあるので注意が必要です。
パソコンはなくならない?
スマートフォンやタブレットの普及でパソコンの出荷台数が減少していますが、実際にはスマートフォンを使いこなすにはパソコンとの併用が必要なように思います。その主な理由は次の3点です。
第1に、文書の作成や写真、ビデオの加工には、ソフトが揃っていて大画面が使えるパソコンが不可欠です。
第2に、スマートフォンにはマニュアル類がほとんど添付されてなく、問題が起きると解決策をウェブで検索することになりますが、ウェブの技術情報には通常パソコン用のページしか用意されてなく、これをスマートフォンの画面で読むのは困難なためです。
第3に、スマートフォンはパソコン以上に紛失、盗難、破損の危険が大きいので、パソコンやその外付けディスクにデータのバックアップを取っておくことが不可欠なためです。元のファイルはパソコンに入れておき、外出先で使うデータだけをスマートフォンなどにコピーしておく方法もありますが、その場合もパソコンが必要です。また、通信事業者などのサーバにバックアップデータを預ける方法もありますが、ファイルの種類に制約があり、データ消失や情報漏洩のリスクは避けられません。
前記の第1の問題は別にしても、スマートフォン単独でも十分使えるようになるためには、まだまだ改善が必要と思われます。
危険がいっぱい
Androidのファイル管理ソフトを使うと、指定したディレクトリやファイルの削除、移動などが極めて簡便にできます。簡便なのは結構なのですが、タッチパネルに誤って触れると、システム用の重要なファイルを削除してしまうおそれがあるので注意が必要です。
また、前述のように、スマートフォンとパソコンの間でしばしばファイルを転送する必要がありますが、両者をUSBケーブルで接続することによってこれも簡単にできます。ただ注意を要するのは、パソコン側からスマートフォン内のファイルを削除することも簡単にできてしまうことです。
WindowsやアップルのパソコンではSMBというファイル共有の規約が使われていて、他のコンピュータから参照可能なファイルや書き換え可能なファイルを事前に指定できるようになっています。スマートフォンやタブレットでも、こうした規約に基づいたファイル共有が望まれます。
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