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「日経ビジネス」 2007年9月10日号掲載 (掲載許可済み07/9/18) PDFファイル

 

日銀は利上げをためらうな

 

820日号の第2特集「円安貧国、ニッポンの罠」に掲載された榊原英資氏の談話に同感である。氏は言う。「とにかく金利が日本だけ異常に低い。だから円安になった」「物価が上がらないから金利を上げられないなんてことじゃなくて、金利を正常化するということなんだ」「景気は5年拡大しているし、今上げなかったらいつ上げるんだと言いたいよ」。

日銀は早く金利を正常化したいと思っているようだが、その足を引っ張る外野の声が大きい。自民党の中川秀直前幹事長や産業界の一部は昨年来しばしば牽制球を投げてきた。最近は財務省の事務次官まで日銀に圧力をかけるような発言をした。

彼らは「景気に水を差すような利上げは慎むべきだ」と言う。しかし、今日銀がやろうとしているのは異常な低金利を正常な状態に近づけることなのだ。異常な低金利が続けば、本来市場から退出すべき企業が生き続け、財務体質を改善すべき企業での、改善の緊急性が弱まる。金利正常化を先送りすれば、短期的な景気上昇には貢献するかもしれない。しかし、長期的な日本経済の発展のためには、超低金利という異常な事業環境を一刻も早く正常化する必要がある。

与党は選挙を少しでも有利にするため、目先の景気を最優先する。企業にとってもここ12年の業績が最優先課題だ。そして、エコノミストなどにとっても、これらの支配勢力の主張に加担しておくのが最も無難だ。しかし、それは長期的な道を誤り、日本経済にバブル体質を抱え込むことになる。榊原氏のような少数意見にもっと耳を傾ける必要があるのではなかろうか。

酒井寿紀東京都、個人事業主、67歳)

 


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