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(株)オーム社新電気」2007年6月号 掲載        PDFファイル

最新 家電事情

 

iPod的ライフスタイル

酒井 寿紀

 

iPod1億台を突破!

今年4月,アップルはiPodの販売台数が全世界で1億台を超えたと発表した.200111月の発売以来順調に販売台数を伸ばし,一時は米国で90%以上のシェアを占めていたという.この大成功の秘密はどこにあるのだろうか? そして,今後は? 最近のiPodは写真や動画なども扱うようになったが,ここでは音楽を聴く機能を中心にみてみよう.

二つの製品と一つのサービスで構成

iPodと一口にいっても,これを使う人は,独立した二つの製品と一つのサービスが使われている.

まずハードウェア製品の携帯音楽プレーヤー「iPod」がある.4GBのフラッシュ・メモリの製品で約1,000曲入れておくことができる.運動中とか,通勤中とか,リラックスしたいときに聴きたい曲を,それぞれ「プレイリスト」に登録しておけば,その場にふさわしい曲をいつでも聴くことができる.

iPodは,ボタン類が極めて少なく操作が簡単である.また,極めて小型軽量で,「アームバンド」を買えばパンツ1枚でジョギングする時も腕につけておくことができる.フラッシュ・メモリを使ったものは衝撃に強く,激しい運動をしても音飛びの心配がない.また,居間のステレオや専用スピーカーに接続すれば,大音量で音楽を聴くこともできる.最近のクルマにはカーステレオにiPodが接続できるものも多い.

次に,「iTunes Store」という音楽配信サービスがある.日本では著作権の問題でサービス開始が遅れたが,現在は,ポップ,歌謡曲からクラシックまで200万曲が配信されている.1曲の値段は150円か200円だ.米国では350万曲が0.99ドル均一で配信されている.それに比べれば日本では多少見劣りがするが,それでもほかの音楽配信に比べれば安さと曲の多さが魅力だ.

そして,「iTunes」という無料のパソコン・ソフトがある.これを使うことにより,音楽を「iTunes Store」で買ったり,CDから読み込んだりすることができる.そして,それを整理して,選曲リストを作ることができる.また,曲をiPodに書き込んだり,CDに焼き付けたり,パソコンで聴いたりすることもできる.最近は音楽だけでなく映像なども扱えるようになった.つまり,家庭内のAVコンテンツの交通整理の中核となるものだ.

音楽のライフスタイルに革命

現在は,一部の例外を別にすれば,アップルが提供する上記の製品とサービスを組み合わせないとiPodは使えない.この組み合わせで,iPodは音楽を聴くライフスタイルに革命をもたらした.CDなどの媒体を買う代わりに,インターネットから曲をダウンロードし,媒体を棚に並べておく代わりにパソコンのファイルに蓄えておく.そして,いつでも,どこでも,好きな曲を聴くことができる.

アップルによる実質的独占の状態がいつまで続くかわからないが,iPodがもたらした音楽革命が後戻りすることはないだろう.

(酒井ITビジネス研究所)


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