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オーム社 「新電気」2006年12月号 掲載        PDFファイル

最新 家電事情

 

YouTubeで世界を眺めよう!

酒井 寿紀

 

YouTubeで何が見られる?

最近,YouTube(ユーチューブ)という言葉を新聞などでよく見かける.これは動画を共用するウェブサイト(www.youtube.com/)である.20055月にサービスを開始し,その後急成長して,今年6月には1日に平均1億本の動画が閲覧されるまでになったという.

YouTubeには誰でも10分以内の動画を投稿することができる.そのため,自分が楽器を演奏したり,ダンスを踊ったりしている映像が多数登録されている.今までに一番閲覧回数が多いのは,「Evolution of Dance(ダンスの進化)」という,アメリカの中年男がTシャツにジーンズという格好で数分間1人で踊り続けるものである.その合計閲覧回数は3,000万回を超えている.

そのほか,自分の子供やペットのユーモラスなしぐさ,交通事故の瞬間,自作のアニメなど,さまざまな映像がある.くだらないものも多いが,厳しい現実を伝えるものもある.例えば,イラクで米軍の兵士が撮影したと思われるものは,市街地を行く戦車の窓から撮影していると,突然間近で爆弾が炸裂し,画面が一瞬真っ暗になり,怒号が飛びかう.窓がひびだらけになる.イラクの前線の実態がよく分かる.報道規制のため,一般のメディアでは見られないものだ.

自作の映像とは違い,テレビなどの映像の一部を投稿したものも多い.ケネディ大統領の暗殺の瞬間から,今年の秋場所の朝青龍・千代大海戦まで,多数登録されている.

放送中のハプニングも見られる.ベテランのアナウンサーが言い間違えて,放送禁止用語(?)を口にしてしまったり,生放送中に小道具が倒れてきてアナウンサーを直撃したりしている.ブッシュ大統領のトチリ,迷言,珍言を集めた映像も多い.ブッシュほどエンタテインメントに貢献した大統領もいないのではなかろうか.

 

YouTubeの問題は?

テレビなどの映像を投稿したものには著作権侵害の問題がある.この10月も,日本のテレビ会社からのクレームで,YouTube3万本のファイルを削除した.しかし,これはモグラたたきのようなもので,たたいてもたたいてもモグラは顔を出す.そのため,アメリカのテレビ会社やレコード会社には,あきらめてYouTubeと契約し,YouTubeへの掲載を認める代わりに,広告収入の一部を分けてもらうことにしたところもある.すでにCBSなどは積極的に自社のテレビ番組をYouTubeに掲載している.この10月にYouTube16.5億ドル(約2,000億円)でGoogleに買収された.今後著作権問題がどう展開するかが注目される.

YouTubeは今や韓国や台湾からも投稿されている.ブロードバンドの普及に伴って利用者は全世界に広がるだろう.インターネットで海外の文書を読むには語学力が必要だが,映像は万国共通だ.YouTubeで世界の裏側を眺めよう!

(酒井ITビジネス研究所)

 


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