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オーム社 「新電気」2006年6月号 掲載        PDFファイル

最新 家電事情

 

居間用パソコン登場

酒井 寿紀

 

ここでもウィンテル?

ブロードバンドの普及に伴って,インターネットでの映像配信が始まりつつある.例えば,USENGyaO(ギャオ)というウェブサイトで,ニュース番組,スポーツ中継,映画などを無料で見ることができる.こういう映像を自分の部屋のパソコンで見て楽しんでいる人もいるだろう.しかし,映画などを見るなら居間の大きいテレビ画面で見たい人も多いはずだ.そういう人のために居間用のパソコンが現れた.

マイクロソフトは2002年に居間用パソコンのOSとしてWindows XP Media Center Edition (MCE)を出した.居間では画面から離れたところで見るため,フォントが大きく,テレビと同じようにリモコンで操作できる.また,普通のパソコンのように電源を入れてから使えるようになるまでに時間がかかると不便なので,スイッチを入れるといつでもすぐに使えるようになっている.このMCEを搭載したパソコンで,インターネットで受信した映像や音楽のほか,チューナーで受信した放送,DVDCDのコンテンツ,ビデオカメラで撮影した映像なども視聴できる.

また日本のマイクロソフトは,昨年10月,MCEを使ったパソコン向けに「メディアオンライン」という映像や音楽の配信サービスを始めた.

そして,インテルはこのMCE向けにViiv(ヴィーブ)というプラットフォームを用意し,Viivパソコンが今年初めに登場した.Viivパソコンと名乗るためにはCPU,チップセット,LANLSIなどに指定されたインテル製品を使う必要がある.居間用パソコンの世界もウィンテルが占領しつつある.

 

今後の問題は?

居間用パソコンが普及するには,まず安くなる必要がある.要求されるディスプレイのサイズは部屋の大きさや好みによって異なり,当面現有のテレビでいい人もいるので,ディスプレイは別売りがいい.また,ケーブルテレビを使っている人にはチューナーは必ずしも要らない.米国ではMCEを搭載したこういうパソコンを600ドル(7万円)程度で売っている.Viivパソコンは高価なLSIを使うため多少高いがそれでも約840ドル(10万円)で買える.これらに10万円程度の32型液晶テレビを接続すれば合せて20万円程度だ.現在の日本の32型以上のディスプレイ付きで40万円以上する居間用パソコンは高すぎる.

そして,今後は居間用パソコンがホームサーバーになり,家庭内ネットワークを通じて各部屋のAV機器や携帯端末に映像や音楽を配信するようになるだろう.

居間用パソコンが普及すれば,その分だけ,DVDレコーダーは不要になり,テレビはチューナーなしでよくなる.AV製品の市場が変わる.パソコン・メーカーと家電メーカーがその新市場で熾烈な戦いを繰り広げることになるだろう.

(酒井ITビジネス研究所)

 


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