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「日経ビジネス」 2005年2月7日号掲載
親を斬らない罪もある
2004年11月8日号の帆足隆・元カネボウ会長兼社長の敗軍の将、兵を語る「親を斬った中嶋は許せない」を読み、2つのことを思った。
1つは、法令順守と業績維持を天秤にかけてはいけないということだ。帆足氏は、「つまようじで突つくようなことをすれば、いろいろ出てくるかもしれないけれど、それは必死でやってきた結果ですからね」と言う。
しかし、スポーツで言えば、法令順守はルールを守ること、業績維持は勝負に勝つことだ。勝負に固執してルールを無視したら、試合はめちゃくちゃだ。業績維持に必死に努力したことは、違法行為の言い訳にはならない。
もう1つは、親を斬る罪と同時に、斬らない罪もあるということだ。帆足氏は、「あの野郎(中嶋社長)には、もう本当に怒り心頭でね。子供が親を殺すようなものですよ」と言う。
しかし、訴える必要があるのに訴えなければ、それは株主に対する背任行為である。親を斬るといっても必ずしも裁判沙汰とは限らず、経営方針の変更もその1つだ。日本には、親を斬る罪より、親を斬らない罪を犯す経営者の方がはるかに多いようだ。
酒井寿紀 (
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