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「日経ビジネス」 2004年1月19日号掲載
金融機関再建に外部の人材を
2003年12月22日・29日号の特集「りそなの壁」を読んだ。記事中でりそなホールディングスの細谷英二会長が指摘していた同社の問題点は、私が昨年9月に聴いた新生銀行の八城政基社長の講演内容と共通する点が多かった。
まず、「『銀行は特別』という社員意識」。りそなが「行員」から「社員」に呼称を変えたのは、細谷氏が意識改革を迫ったということだと思う。新生銀行では、八城氏が着任早々「頭取」を「社長」に変えようとしたところ、抵抗勢力の反発に遭ったという。
次に、「収益指向がない組織」という点。細谷氏が分野別の収益データを要求したところ、りそなにはなかったという。新生銀行では、八城氏が前月の業績データを要求したところ、「当行の決算は年2回なので分りません」と言われ、唖然としたという。
第3に、「公的資金注入で甘え」と言う点。りそなでは「先送り文化」を断ち切るため、常識を破って公的資金を不良債権処理に充てたという。八城氏は、公的資金を返済したいのだが政府が認めてくれないと不満を漏らしていた。公的資金への甘えを1日も早く断ち切りたかったのだろう。
日本の銀行員の意識や収益管理の仕組みはどこでも似たり寄ったりのようだ。これを打破するには、金融界以外の人の力が必要と思われる。細谷氏や八城氏のような外部からの人材によって、日本の銀行が立ち直るモデルが示されることを期待したい。
酒井寿紀(
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