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「日経ビジネス」 2002年11月4日号

    「レターズ 読者から」に掲載

民間の構造改革促す政策を

 10月7日号の編集長インタビューに
登場した榊原英資氏の意見は、私が思
っていたことと共通点が多かった。
 まず、「不良債権問題は過剰債務の
整理と言った方がいい」という点だ。
銀行がいくら不良債権に対して引当金
を積んでも、見込みのない融資先を整
理しても、それが直接日本経済の活性
化をもたらすわけではない。企業が事
業の整理統合などを進めて収益を上
げ、過剰債務を解消することが唯一の
根本的な解決策だと思う。
 もう1つは「公的資金の投入は銀行
を延命させるだけ」という点だ。
 現在、公的資金注入の必要性を主張
している人が多く、今回の内閣改造を
見てもその方向に進めようとしている
ようだ。しかし、これが不良債権問題
の根本的な解決になるだろうか。
 大手術が必要だが、手術する気がな
い患者にいくらカネを渡しても、手術
をするわけがない。税金の無駄遣いに
なる恐れが大きい。銀行に手術を決心
させる方が先決だ。
 政府はもっと民間主導での構造改革
の促進に力を入れるべきだと思う。例
えば、連結納税制度の導入に伴う連結
付加税の設定のようなことは避けるべ
きだった。
 企業グループ再編のアクセルを踏ん
でも、一方で税収減が心配でちょこち
ょこブレーキを踏んだのでは車はいつ
までも加速しない。

                    酒井 寿紀


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