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No.6                             酒 井 寿 紀                      2000/3/27


「時価総額」を重視しよう!

 

株を買う時は、普通先ず「株価」を見て、割安だから買おうとか、高すぎて手が出ない、とか言う。しかし「株価」では本当は何も分からない。

先ず、「株価」そのものを他の会社と比べてもあまり意味がない。例えば、3月24日のヤフーの株価が1億2740万円で、日立の株価が1,250円だからと言って、ヤフーと日立の会社の評価が約10万倍違うわけではない。「時価総額」はヤフーが3.7兆円、日立が4.2兆円で、これが市場が両社につけた値段である。両社の額面が違うといっても、株を買う人にとってはあまり関係なく、最近は無額面の株もある。アメリカでは無額面が主流である。(以下株価等はすべて3月24日の終値)

これほど極端でなくても、例えば、株価はソフトバンクが87,000円、ソニーは25,700円でソフトバンクの方が上だが、時価総額はソフトバンクが9.6兆円、ソニーが11.6兆円で逆である。

従って、市場がその会社をどう評価しているかを見るには、「株価」ではなく「時価総額」を調べる必要がある。

例えば、昨年末マザーズに上場したインターネット総研の時価総額は一時1兆円を超えた。1兆円と言えば、ほぼ三菱重工の時価総額である。これをどう判断するかが問題である。インターネット総研の株価が7千万円を超えたと言っても、それだけでは何とも言えない。

また、現在の時価総額のトップはNTTドコモで、40兆円である。これは東証1部の時価総額447兆円の約9%になる。ドコモの時価総額は昨年1年で約4倍になったが、同じ調子で行けば、今年末には東証1部の時価総額の40%近くがドコモになってしまうので、たぶんそういうことにはならないだろう。

また、株式分割があると株価の権利落ちがあるので、市場の評価の推移を見る時も「株価」ではなく「時価総額」で見る必要がある。例えば、アメリカのマイクロソフトは87年から99年にかけて、合計8回の株式分割を行い、1株が144株になっているので、単純に株価を追いかけてもマイクロソフト株に対する市場の評価の推移はまったく分らない。

このように、アメリカの会社は株価が上がりすぎるとどんどん株を分割するので、株価はだいたい100ドルを中心にして50ドルから200ドルの範囲内にあるものが多い。しかし当然のことながら、時価総額には何桁もの開きがある。

例えば、マイクロソフトの株価は111ドルで時価総額は5,813億ドルだが、Amazon.comの株価は72ドルで時価総額は248億ドルと、株価は1.5倍だが時価総額には20倍以上の開きがある。

そして、例えば今年に入っても、1月にオラクル、2月にヤフー、3月にシスコ・システムズがそれぞれ2対1の株式分割を実施し、その前後で株価は半分に値下がりしているので、株価の推移を見る時はよく気をつけないと、とんでもない勘違いをする恐れがある。

日本でも、アメリカほどではないが、昨年6月にNTTドコモが株式を分割し、またこの3月末にはソニー、ヤフーが株式分割をする。

従って、市場の評価の推移を見るには「時価総額」をフォローする必要がある。「株価」は単なる売買の単価にすぎない。


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