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No.211 酒 井 寿 紀 2002/07/21
9月11日の一面・・・ユダヤ人対アラブ
昨年9月11日、米国の同時多発テロで3,000人以上の人が亡くなった。大変痛ましいことである。だが、この事件の根本的な原因は何だったのだろうか?
ブッシュ大統領は、事件3日後のワシントンの教会での式典で、「いつの時代にも人類の自由の敵がいた。アメリカは自由の元締めであり擁護者なので、彼らはわれわれを襲ったのだ」と言っている。しかし、これは本当だろうか?
9月24日にオサマ・ビン・ラディンの手紙として伝えられた情報では、彼は、「これはブッシュに率いられたユダヤ人とキリスト教徒の十字軍に対する戦いだ」と言っている。そして同日、タリバーンのオマール最高指令官は、「アメリカが、ペルシャ湾から撤兵し、パレスチナ問題から手を引き、イスラム圏のことに介入しなくなるまで危機は続く」と語っている。
要するに、ユダヤ人とアラブに対するアメリカの政策が問題だと言っているのだ。ブッシュの名をあげていても、問題はブッシュ個人ではない。テロはブッシュが大統領になるよりずっと前から計画されたものだ。ではどうしてアメリカはこんなにユダヤ人に肩入れするのだろうか?
「American Jewish Year Book」によるとアメリカのユダヤ人は2000年始めに570万人で、それは全世界のユダヤ人1,300万人の43%に当るという。1) 要するにアメリカは今やユダヤ人の最大の居住地なのだ。
と言っても、アメリカの人口2.8億人に対し、ユダヤ人は2%に過ぎず、3,000万人のアフリカ系の人口に対して5分の1以下だ。しかし、問題は頭数ではない。
「Famous Jews Interactive」というウェブサイトに、著名なユダヤ人の名前が挙げられている。2) その情報の正確さは不明だが、その中からアメリカ人を一部拾い上げてみる。
政治家では、グリーンスパンFRB議長、オルブライト元国務長官、ワインバーガー元国防長官、ルービン元財務長官、キッシンジャー元国務長官等の名前がある。
実業界では、デル・コンピュータのマイケル・デル社長、マイクロソフトのスティーヴ・バルマー社長、投資家のジョージ・ソロス、RCAの創始者のデヴィッド・サーノフ等がユダヤ系という。
映画俳優には、ケリー・グラント、トニー・カーティス、ポール・ニューマン、カーク・ダグラスとマイケル・ダグラスの親子、ハリソン・フォード、ダスティン・ホフマン等、また映画監督には、ウィリアム・ワイラー、ビリー・ワイルダー、スティーブン・スピルバーグ、ウディー・アレン等がいる。
映画関係者にユダヤ系が非常に多いのは、MGMを作ったゴールドウィンとメイヤー等のユダヤ人が、ハリウッドを事実上作ったためだという。
作家では、ノーマン・メイラー、アーサー・ミラー、サリンジャー等がユダヤ系だという。
クラシック音楽では、アイザック・スターン、レナード・バーンスタイン、ハイフェッツ、メニューイン、そしてポピュラー・ミュージックでは、ベニー・グッドマン、ダイナ・ショア、エルヴィス・プレスリー、ボブ・ディラン等がそうだという。
そして、バーバラ・ウォルターズや経済学者のミルトン・フリードマンもユダヤ系だという。
要するに、アメリカの政治、経済、文化のかなりの部分が実質上ユダヤ人によって支配されているのだ。
ここで、昔、アメリカのジョーク集で読んだ話をひとつ紹介しよう。
「ある時、5人のユダヤ人が、『人間の体で一番大事なのはどこか』という問題を議論した。
モーゼが言った。『それは頭だ。人間にとって一番重要なのは頭脳だ』
イエス・キリストが言った。『いや、それは心臓だ。何といっても心が一番大事だ』
カール・マルクスが言った。『いや、それは胃だ。人間にとっては食べることが一番重要だ』
フロイトが言った。『いや、一番大事なところはもう少し下の方にある。セックスが人間の全行動を支配するのだ』
最後にアインシュタインが言った。『いや、みんな違う。すべては相対的なのだ』」
そう、彼らはみんなユダヤ人なのである。また、ノーベル賞受賞者の5分の1はユダヤ人だという。2) ユダヤ人は世界の全人口の500分の1にすぎないが、これだけの影響力があるのだ。全人口の50分の1がユダヤ人であるアメリカでの影響力の大きさが想像できる。
従って、アメリカの政治家はユダヤ人を敵にできないことをよく知っている。むしろ、味方に引き込んでその力を利用しようとするのは当然なことなのである。
そして、ユダヤ人とアラブは、旧約聖書の時代から現代に至るまで、3,000年以上に渡ってパレスチナの地を取り合って戦い続けてきたのだ。従って、アメリカ政府がユダヤ人と結託すれば、当然アラブを敵に回すことになる。これが今回のテロの根本的な原因である。
私のインターネット上の知人で、ドイツ生まれで現在ボストンに住んでいる、小説を書いたり宝石のデザインをしたりする女性も、「何千年に渡るユダヤ人とアラブの対立とアメリカのユダヤ人に対する支援がテロの原因です」と、事件の後メールで連絡してきた。
ブッシュ大統領も、これが今回のテロの根本原因であることを百も承知のはずだ。しかし決してそうは言わない。それは、邪悪に対する正義の戦いにした方が、政治的に都合がいいからである。しかし、われわれは真の原因がここにあることを忘れてはならない。テロのよしあしは別にして、オマールが言うようにアメリカの政策が変わらない限りテロの危険は続くだろう。
そして、アメリカが完全にユダヤ人側だと言うことは、アメリカに、公平な立場で中東問題の解決を図ることなどできるわけがないということである。
また、アフガニスタンはイスラム教の国であり、イスラム教の中心はアラブ世界であることを考えると、アメリカ主導によるアフガニスタンの復興が極めて困難なことは明白である。
1) http://sites.huji.ac.il/jcj/dmg_worldjpop.html
2) http://www.yahoodi.com/famous/index.html
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