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パリ余話

アンジェリーナのモンブラン

パリへ行くと、いつも女房にケーキ屋に連れて行かれる。今回はリヴォリ通り(Rue de Rivoli)のアンジェリーナ(Angelina)に行った。ここのモンブランが有名なのだそうだ。従来の製品と新製品を注文し、二人で分け合って食べた。決して悪くはないが、わざわざパリまで来て食べる値打ちは分からい。前回、ラジュレ(Ladurée)でマカロンを食べた時も同じだった。こういう、観光ガイドブックで有名な店は、いつも満席状態で、外国人、特に日本人の女性が多いように思う。最近は、日本でもこれらの店の品物が買えるが、パリで食べてきたということに意味があるのだろう。

しかし、アンジェリーナで飲んだ紅茶は、今までで一番おいしかった。いつも飲んでいるダージリンだが、材料の違いか、淹れ方の違いか、何とも言えないいい香りだった。やはり、世界的に有名になるだけの技術を持っている店のようだ。

詐欺の新手口?

カンヌではトラブル続きだったが、パリでも小さなトラブルが続いた。小生は小銭入れを失くし、女房はスーツケースの取っ手をタクシーの運転手に壊された。今回の旅行では、大小合わせて10件以上のトラブルに遭い、海外旅行の新記録を更新した。若い頃は、海外旅行にトラブルやハプニングは付きものと、後始末を楽しむ余裕があったが、もうそんな余裕はなくなった。

アンジェリーナからヴァンドーム広場(Place Vendôme)へ向かう道で、女房が日本人の女性がやっているお土産屋をのぞいている間、歩道であたりを眺めていると、歩いてきた女が小生の前で身をかがめて何かを拾い上げ、手の中の金色の指輪を見せて、

「これが落ちてたけど、あなたの物ではありませんか」と言う。否定すると、「私の指には合わないので、あなたにあげます」と言う。これも即座に断ると、女は残念そうな顔をして立ち去った。ところが、驚いたことに、しばらくしてまた別の女がやってきて、まったく同じやり取りをすることになった。

あとで、そのお土産屋の女性店主に聞くと、「あれは泥棒ですよ」と言う。指輪を受け取ると、どういうふうにして泥棒の被害につながるのか分からないが、どうも最近流行の手口のようだ。それにしても、二人とも英語で話しかけてきた。この世界でも、外国人相手のビジネス用語は英語になったようだ。

 

クスクスの売り場探し

娘のお土産の注文にはいつも苦労させられる。といっても、頼まれるのは女房なのだが、女房だけでは手に負えないので、小生も必ず手伝わされる。

フランスのリヨンの近くの小さな町で貧乏暮らしをしていたことがある娘の今回の注文は、アルジェリア人などが食べるクスクスの材料だった。それも当時食べたブランドのご指定だ。パリのラファイエットという大きなデパートの食料品売り場に行ったが、どこを捜してもクスクスは見当たらない。困ってレジの女性に聞くと、二、三人であれこれ話し合っていたが、やっと分かったようで案内してくれた。陳列棚の一つの最下段に1種類だけ置いてあった。これではいくら捜しても見つからいわけだ。パリの大きいデパートでこんなものを買う人はいないようだ。娘がしょっちゅう食べていた懐かしのブランドとは違うので、結局それは買って帰らなかった。

お土産の品物を事細かに指定されると、頭は使わなくて済むので助かるが、捜すのに手間がかかって大変だ。

 

(完) 2014年8月


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